「親亡きあと」への不安を1枚の表に。ライフプラン表作成ワークショップ開催レポート

はじめに
先日、知的障害のあるお子さんを育てるご家族に向けた「親子のライフプラン表作成ワークショップ」を、2回にわたって開催いたしました。
ご参加者はそれぞれお子さんの年齢や家庭状況が異なりましたが、いずれも「メルマガ特典としてライフプラン表を受け取ったものの、なかなか書き進められずにいた」という共通のお悩みをお持ちでした。
このワークショップは、そのシートを実際に手を動かしながら講師と一緒に完成させていく、90分間の実践型講座です。
今回はその開催報告として、講座の内容をご紹介します。
講座のゴール:「なんとなくの不安」を「見える化」する
ライフプラン表は一度完成させたら終わり、というものではありません。5年後、10年後には状況が変わるため、本来は書き直し続けていくものです。
今回の講座では「完成させること」よりも、「今、何を考えればいいのか」「次に何をすべきか」に気づいていただくことをゴールに設定しました。
講座を通して得ていただきたかったのは、次の3点です。
- 家族の未来を見える化すること
- 「親亡きあと」をどう捉え、家族としてどう備えていくかを知ること
- 今、何から手をつければよいかが1つでも見つかること
お金の悩みの本質 ― 障害のある子がいる家族ならではの視点
「いくら必要ですか?」という質問をよくいただきますが、必要な金額は家族の状況や資産、そしてどんな暮らしを望むかによって変わるため、一律の答えはありません。
まずは「どんな暮らしを望むか」というライフデザインを考えることが出発点になる、というお話からスタートしました。
そのうえで、知的障害のある方がいるご家庭ならではの特徴として、次のような点が挙げられます。
- 親の判断が子どもの人生に長く影響し続けること
- 「親亡きあと」が見えてくる段階が早く、準備期間が長くなること
- それでも「親は必ず先に亡くなる」という現実は変わらないこと
だからこそ、なんとなくではなく、意図してご準備を進めていく必要がある、という考え方をお伝えしました。
ライフプラン表の書き方 ― 家族全員の未来を1枚に落とし込む
具体的な記入は、次のような手順で進めました。
- 基準年と家族全員の年齢を記入する:今年を基準に、家族一人ひとりが「その年に何歳になるか」を横に並べて書き込んでいきます。年齢を数字にして書き出すだけで、「5年後には自分もこれだけ歳を取るのか」という実感がわいてくる、という声も講座の中で挙がりました。
- ライフイベント欄を2段に分ける:一般的なライフプラン表では1段のみのことが多いライフイベント欄を、あえて「家族全体のライフイベント」と「ご本人だけのライフイベント」の2段に分けて記入する点が、この講座オリジナルの工夫です。
- 「叶えたい夢」を書き出す:実現できるかどうかは考えず、家族としてやりたいこと・必要なことに加え、「自分ひとりだけの、誰にも言わなくていい夢」もあえて書き出していただきます。我慢を重ねてしまいがちな保護者の方にこそ、自分自身の夢も書き残してほしいという思いを込めたパートです。
- 必要資金を見積もる:書き出した夢やイベントに、おおよその金額を当てはめてみます。数字に落とすことで、「月にいくら積み立てれば実現できそうか」という具体的な計画が見えてきます。
見落としがちな「日常生活費」と「特別な支出」の整理
講座の中では、「ライフプラン表で扱う"必要資金"は、旅行やリフォームなど非日常的な支出のイメージだが、では毎月の生活費についてはどう考えればいいのか」という質問も出ました。
これはライフプラン表とは別に、毎月の家計収支を把握する作業が必要になる部分です。
家計簿アプリなどを使ってざっくりとでも支出の傾向をつかんでおくと、
「日々の生活は問題なく回っているか」
「将来の目標に向けて、月にどのくらい積み立てられそうか」を現実的に考えやすくなります。
完璧な家計管理ができていなくても、まずは大まかな傾向をつかむことから始めれば十分、というお話もしました。
「親亡きあと」を考えるためのチェックリスト
講座の後半では、「取り組むことチェックリスト」を使いながら、親として・ご本人のために、それぞれ何を考えておくべきかを整理しました。
- 家計や家族の夢に関すること
- 福祉サービスの契約状況(使う予定がなくても、契約だけはしておくことの大切さ)
- ご本人の日常生活スキルやコミュニケーション能力の把握(小さな選択の場面で本人の意思を聞く習慣が、将来の支援を考えるうえでの判断材料になること)
- かかりつけ医や薬の情報、これまでの経過の記録
- 緊急連絡先や、生活に必要な物の場所など「もしもの時に誰かが分かるようにしておく」情報の整理
- 遺言・エンディングノートの準備状況
特に「どこで暮らすか」「誰が支えるか」「どんな人生を送ってほしいか」というご本人の将来像をイメージしておくことは、対策の具体性を大きく左右するポイントとしてお伝えしました。
成年後見制度・エンディングノートという備え
講師自身が成年後見制度における「保佐人」を務めている経験も交えながら、次のような点をお話ししました。
- 判断や契約行為が難しい場合、成年後見制度の利用がいずれ必要になること
- 医療同意は後見人にはできないため、延命治療などの方針を親があらかじめ書き残しておくことが、残されたご家族や後見人の助けになること
- 家系図を整理しておくことが、将来の後見制度の申し立てや相続の手続きをスムーズにすること
- 「生活保護があるから貯金は不要」「家族信託さえ組んでおけば親亡きあとは安心」といった単純化された情報も出回っているが、実際にはご本人の心情面のケアやコーディネートは制度だけでは代替できないため、家族の状況に合わせて丁寧に考える必要があること
いずれも「今すぐ結論を出す」ためではなく、「いつか判断が必要になったときに困らないよう、備えておく」ためのお話です。
参加者の声
ご参加いただいた方からは、次のような感想をいただきました。
- 漠然と感じていた不安の輪郭がはっきりして、何から手をつければいいかが具体的になった
- 不安なままでいるより、やるべきことが見えたほうがずっと気持ちが楽になった
- お金のことだけでなく、障害のあるお子さんの将来を見据えた考え方まで扱ってもらえる相談の場は貴重で、心強かった
もともと課題意識を持って情報収集をされている方でも、日々の忙しさの中で「なんとなく後回し」になってしまいがちなテーマだからこそ、こうして一度立ち止まって書き出し、言葉にする時間には大きな意味があると感じています。
まとめ・次回のご案内
ライフプラン表は、完成させることよりも「書いてみること」自体に価値があります。年齢を入れて、ライフイベントを並べてみるだけでも、見える景色は大きく変わってきます。
「何を考えればいいのか分からない」という段階からで大丈夫です。ご興味のある方は、ホームページから初回無料の個別相談もご利用いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
個別相談はまだという方はまずはメルマガに登録して、ライフプラン表をぜひ受け取ってくださいね。


