市民後見人って何をする人?地域包括支援センターの会議で講師を務めました

地域包括支援センターの会議で市民後見人の役割について説明する様子をイメージした画像

先月末、地域包括支援センターの地域会議にて、「高齢になっても地域で暮らしていくために ~市民後見人って、何をする人?地域で暮らしを支えるということ~」というテーマでお話しさせていただく機会をいただきました。

事前の打ち合わせとアンケートをもとに、出席される皆さんの理解につながるようレジュメを作成して臨みました。

会議の出席者は、医師、ケアマネージャー、民生委員、薬剤師、地域の社会福祉協議会、市の地域包括ケア課の職員など、地域を支える様々な立場の方々です。

なぜ私が市民後見人になったのか

私は普段、ファイナンシャルプランナーとして「家族とお金」というテーマに長く向き合ってきました。

そこに加えて、伯父・伯母の介護を担う中で成年後見制度をどう活かせるのかを身をもって考えてきたこと、そして何より、ダウン症候群の長男の母として「将来、この子を誰が支えるのか」をずっと考え続けてきたことが、私のベースにあります。

ダウン症の長男にはいずれ成年後見制度が必要になります。

ただ、当時の制度の運用には疑問を感じている部分もありました。

「実態はどうなっているのか」「法律はこれからどう変わるのか」。

それを知るために、自分自身が制度の中に入ってみたいと思ったことが、市民後見人になった理由です。

市民後見人になるまでの道のり

2020年度、コロナ禍でオンライン開催となった市民後見人養成講座を受講しました。

オンラインでなければ受講できなかったタイミングでもあり、自分にとってはこの巡り合わせしかなかったと感じています。

受任前には生活支援員として、別の方の金銭管理・生活支援を隔週1回のペースで継続。

そして2021年11月、権利擁護センターこくぶんじより、前任の市民後見人が高齢となり交代したいとの打診をいただき、2022年3月、80代・一人暮らし・知的障がいのある方の保佐人として受任しました。

現在2026年で5年目、支援は今も継続中です。

市民後見人としての一日・一か月・一年

会議では、市民後見人としての一日、一か月、そして一年間の支援の流れを具体的にお伝えしました。

月に1〜2回以上の訪問では、

  • ご本人の様子確認や生活状況の記録
  • 使ったお金のレシートや郵便物の受け取り
  • 要望や困りごとの聞き取り
  • 通院・通所・支援者訪問などのスケジュール確認

などを行います。

金銭管理は随時、

  • レシートの回収と集計
  • 通帳の引き落とし確認
  • ヘルパー自費分の支払いや代行購入

なども担います。

通院同行は、眼科・耳鼻科は3か月に1回、内科・整形外科は年2〜3回のペースで、医師の説明をご本人と一緒に確認しています。

それだけではありません。

トイレの水漏れや給湯器の故障、電話がつながらなくなった、
タンスが壊れて買い物同行から粗大ごみ手続き・組み立ての立ち合いまで、
大家さんが変わり保証人の手続きが必要になったなどなど

一人暮らしで起きる困りごとは、すべて後見人対応になりうるというのが実感です。

年間を通じては、3か月に1回、権利擁護センターこくぶんじへの定期報告、そして年1回、3月ごろに権利擁護センターを通じて家庭裁判所へ報告を行います。

記録は日々の積み重ねであり、報告書はその記録を書式に落とし込むイメージだとお伝えしました。

保佐人の仕事 ― 身上保護と財産管理

保佐人の仕事は「身上保護」と「財産管理」に分けられます。

言葉だけ聞くと難しく感じられますが、身上保護とは、ご本人の生活・健康・住まいに関わる意思決定をサポートすること。

通院同行や医師の説明の確認、住まいの契約・更新手続き、日常生活の困りごとへの対応、介護サービス利用に関する意思確認や契約などが含まれます。

財産管理は、通帳・収支の管理やレシートの回収・集計、各種支払い手続き、代行購入、そして家庭裁判所や権利擁護センターへの報告です。

どちらも起点になるのは「ご本人の意思」です。

私が決めるのではなく、ご本人が決められるよう、わかりやすい説明や複数回の確認で支えることが後見人等の役割だとお話ししました。

支援者との連携、そして見えてきた課題

後見人等は一人で支えているわけではありません。

連絡帳、メール、電話と、状況に合わせてあらゆる手段を使いながら、ケアマネージャーとはサービス担当者会議への参加や介護サービスの相談を、訪問看護とは健康状態の変化や服薬管理の共有を、家事支援ヘルパーやデイサービスとは日常の様子や体調変化の共有を、福祉用具事業者とはレンタル品の状態確認を行っています。

年に1回は関係者全員が集まる会議も開かれ、「顔の見える関係」がチーム支援の土台になっています。

一方で、後見人等はあくまでコーディネーター役でありながら、現場では「本来の役割ではないけれど動かざるを得ない」場面もあります。

たとえば通院同行は本来後見人等の業務ではありませんが、知的障がいのある方が医師の言葉を理解しにくい場合に同行が必要になりますし、買い物同行も本来はヘルパーが担う場面ですが、ヘルパーの時間が確保できない時などは後見人等が動かざるを得ません。

「頼める人がいないから後見人等が動く」という状況は、後見人等だけの問題ではなく、地域の支援体制全体の課題として、会議でも支援者の皆さんと一緒に考えたいとお伝えしました。

市民後見人はボランティアではありません

「市民」という言葉から、ボランティアだと思われることも少なくありません。

しかし市民後見人も専門職後見人も、家庭裁判所から選任された法定後見人等であり、担う職責は同じです。

報酬は家庭裁判所が年1回の報告をもとに決定し、ご本人の財産から支払われます(資力がない場合は市区町村の助成制度もあります)。

専門職後見人が複数の案件を同時に受任するのに対し、市民後見人は現実的には1〜2件を、地域に暮らす市民として身近な目線で支える立場です。

市民後見人は「地域の支え合い」の担い手であり、ボランティアではなく責任ある法的立場としてご本人の権利を守っている

このことも、ぜひ知っていただきたいポイントとしてお話ししました。

グループワークで見えた、それぞれの立場からの声

参加された皆さんはバラエティーに富んでおり、私の話の後にはグループワークも行われました。

それぞれの立場で感じていることや問題点が活発に話し合われ、市民後見人の役割についての質問も多数出ました。

「ご親族がいる場合の役割分担は?」
「支援で悩んだ時はどこに相談しているのか?」
「緊急連絡先として対応してもらえるのか?」
「入院時の対応はどこまでお願いできるのか?」など、

現場で実際に疑問に感じている点を率直にぶつけていただけたことで、市民後見人に対する理解が着実に進んだと感じられました。

「後見人」という存在の認知度について

実際に私自身も保佐人として様々な立場の方にお会いしますが、「後見人」という存在の認知はまだまだだなあと実感する場面があります。

ケアマネージャーやヘルパーさんと間違えられたり、親族だと思われたり……。

受任した当初は、後見人等の役割を正しく理解されていないことから支援者の信頼を得るのに苦労しましたが、連絡帳を積極的に活用し、話し方を工夫しながら小さなやり取りを積み重ねることで、少しずつ信頼関係を築いてきました。

おわりに

今回は、そうした現状を多くの専門職の方々に直接お伝えできる、とても良い機会をいただいたと思っています。

今後もこういった機会が増え、市民後見人および成年後見制度についての正しい理解が地域に広がっていくとうれしく思います。