【連載 第1回】「いくら必要?」から「家族でどう生きる?」へ 2026年、老後資金のリアルと「対話」の価値

こんにちは。
家族マネープランニングの専門家 濱倉千晶です。
この連載では、「いくら貯めるか」ではなく、家族の未来から逆算したお金の整え方をお伝えしていきます。

月々のローンの支払いがようやく終わるんです。この浮いたお金、どう貯めるのが正解ですか?
先日、40代の相談者様(ご主人様)から、このようなご相談をいただきました。
一つの大きな肩の荷が下りるタイミングで、将来に向けて備えたい。
とても前向きで、素晴らしいご相談です。
ですが私は、すぐに金融商品のお話には入りません。
なぜなら、お金を「どこに置くか」を決める前に、プロの視点から必ず確認する大切な質問があるからです。
今回は、2026年の金融環境も踏まえながら、私たちが「とりあえず貯める」から卒業するための考え方をお伝えします。
FPが大切にする「対話」と現状分析
今は、スマホ一つで投資が始められる時代です。
NISAやiDeCoの情報も、ネット上にあふれています。
私がご相談で大切にしているのは、現状を丁寧に伺い、本当に相談者さまが望んでいることを確認することです。
- 「老後資金が心配で。」
- 「何で運用するのが良いですか?」
と、お客さまの要望からご相談は始まりますが、現在の資産状況や年齢によって、どんな選択をするかが異なります。
また、お話しをして行く中で、他の問題点や課題点が見えてくることがあります。
「本当はこんな風にしたいと思っている。」とか「もしかしたら、今のお金の使い方にも不安があったのかも・・」など、最初の相談は「老後資金」であっても、そのことより先に取り組むことに気づいたりするのです。
「とりあえず貯める」の前に確認したい3つのチェックポイント
今回の相談者様は、

老後の年金が不安だから、とにかく増やしたい
とおっしゃっていました。
そこで私は、具体的な商品提案の前に、次の3点を一緒に整理しました。
① 「今」を守るお金は足りていますか?(生活防衛資金)
投資や長期積立の前に最優先で確認したいのが、急な病気や収入減に備える生活防衛資金です。
ここの土台が不十分なまま運用を始めてしまうと、
- 相場が下がった
- 急な出費が出た
といった場面で、積立を途中で崩すことになりかねません。
長期運用を続けるためにも、まずは「なにか急な出費が発生した時に使える資金=生活防衛資金」が整っているか。
ここを丁寧に確認します。
② そのお金の「出口」はどこですか?
「老後資金」と一言で言っても、目的はご家庭ごとに違います。
たとえば、
- 65歳から毎月5万円を上乗せしたい
- 70歳でリフォーム資金に使いたい
- いざという時の安心資金にしたい
いつ・誰が・何のために使うのか。
この目的(出口)が明確になることで、選ぶべき商品の性格が見えてきます。
③ ご夫婦でどんな話をされていますか?
実はここ、とても重要です。
意外に多いのが、
「夫(妻)が良さそうだから始めた」
「詳しい方に任せている」
というケース。
今回の相談者様も、最初は
「まずは自分の資金を増やしたい」というお気持ちでした。
もちろんその視点も大切です。
ですが、家族のお金はチーム戦。
お互いの価値観をすり合わせておくことが、長期で安心して続けられる仕組みづくりにつながります。
私自身、これまで多くのご家庭を見てきましたが、ご夫婦で方向性を共有できているご家庭ほど、お金の準備はスムーズに進んでいきます。
選択肢は一つじゃない。プロが考える「お金の居場所」
こうして現状を整理した上で、初めて具体的な選択肢の検討に入ります。
一般的には、例えば次のようなルートがあります。
- コツコツ育てる:NISA・iDeCoなどの税制優遇制度
- 守りながら備える:生命保険を活用した資金準備
- 金利環境を活かす:外貨建て商品や国債 など
大切なのは、
「これさえやれば正解」という方法はない
ということ。
どのお金を、
どの目的で、
どこに配置するか。
この全体設計を一緒に考えることこそ、家族マネープランニングの役割だと私は考えています。
家族の未来を確実にする「お金の流儀」
お金を整えることは、単に不安を消す作業ではありません。
それは、
「家族でどう生きていきたいかを形にするプロセス」
です。
今回の相談者様も、複数の選択肢と現場の最新情報に触れる中で、少しずつ「わが家に合った備え方」が見え始めてきました。
次回は、私が金融機関や保険会社の担当者さんとの面談で感じた
「円・ドル・一括・積立」の具体的な使い分け
について、現場視点でお届けします。
どうぞお楽しみに。


