「準備していたつもり」でも、相続で困ったこと。伯母を見送って改めて感じた終活の大切さ

5月の連休に入院した伯母が、6月の初めに旅立ちました。
伯母は、私の母の兄である伯父の妻です。
子どものいない夫婦でしたが、私が小さい頃から家族ぐるみで行き来があり、とてもかわいがってもらいました。
2017年、認知症の伯父を一人で介護していた伯母が緊急入院したことをきっかけに、私は伯母の介護を引き受けることになりました。
そこから8年7か月。
その間に伯父を見送り、伯母とは買い物に出かけたり、定期的な通院に付き添ったり、泊まりがけで伯父のお墓参りに行ったり。
伯母の好きなお寿司を食べに行ったり、お風呂の介助のあとにおしゃべりしたり、一緒に家の片付けをしたり。
本当にたくさんの時間を一緒に過ごしました。
その後、伯母とは養子縁組をし、私にとっては「3人目の母」のような存在になりました。
時々、伯母が私のことを「娘です」と紹介するときの、嬉しそうな顔。
これまで何でも一人で決めてきた伯母が、
「相談できる人ができて、とても嬉しい」
と言ってくれたときの顔。
今でも、ふとした瞬間に思い出します。
伯父の最後のときには、私たちは間に合いませんでした。
だからこそ、伯母の最後には一緒にいたいと思っていました。
容態が急変し、病院に泊まり込んだとき、伯母は「楽しい人生だった」と言ってくれました。
本当に仲の良い夫婦でした。
そして、伯父と伯母の命日は、10日しか違いません。
先日、七七日法要と納骨を無事に終えました。
伯父が旅立ってから、昨年は7回忌を行い、
「次は13回忌を一緒にやろうね」
と話していたのに。
まさか、その前に伯母を見送ることになるとは思ってもいませんでした。
伯母を見送って、今度は相続の手続きが始まります
伯父と伯母には子どもがいませんでした。
養子縁組をしたことで、私は伯母の相続人となりました。
伯父が2019年に亡くなったときにも、相続の手続きを経験しています。
そのときは、相続税の対象となる財産額ではなかったため、今回ほど複雑ではありませんでした。
とはいえ、遺産分割協議書を作ったり、金融機関で手続きをしたり。
亡くなった後にやらなければならないことは、決して少なくありませんでした。
そして今回。
伯母の相続では、相続税の対象となる財産額になります。
遺言の検認の手続きが終わる今週末から、本格的に相続の手続きが始まります。
仕事として、家族のお金や相続についてお伝えしている私自身が、今度は当事者として相続を経験することになりました。
実は、伯母とは「準備」をしていました
今回、私が「準備していてよかった」と思うことがあります。
伯母とは、伯父のときもそうでしたが、金融機関の一覧や財産について、毎年確認していました。
伯父が亡くなった後には、伯母と一緒にエンディングノートも書きました。
- 誰に連絡してほしいのか。
- どんなお葬式にしたいのか。
そうしたことが分かっていたので、伯母が亡くなったときに「何も分からない」という状態ではありませんでした。
これは本当に助かりました。
「終活をしておいてよかった」と、実感しています。
それでも、分からないことはありました
では、準備していたから何も困らなかったのかというと、そんなことはありません。
むしろ今回、強く感じたのは、「準備していたつもりでも、分からないことはある」ということでした。
伯母が入院したとき、金融機関の印鑑について確認したことがありました。
「印鑑はどこにある?」と聞いたところ、伯母は、「今、持っている」と。
なんと、普段持ち歩いているバッグの中に入っていたのです。
「えっ、持ち歩いているの?」と、私はびっくりしました。
一緒に生活しているわけではなかったからこそ、私には分からないこともたくさんありました。
- 家の中のどこに何があるのか。
- 何を大切にしているのか。
- どこまで片付けていたのか。
- 何を誰に伝えたかったのか。
毎年確認していたことがあっても、すべてを把握できていたわけではありませんでした。

「一人で決めなくてはいけない」という大変さ
そして、もう一つ強く感じたことがあります。
それは、「一人で決めなくてはいけない」ことの大変さです。
伯母は、これまで何でも一人で決めてきた人でした。
だからこそ、私が介護をするようになって、「相談できる人ができて、とても嬉しい」と言ってくれたのだと思います。
でも、伯母が亡くなった今度は、私がいろいろなことを決めていかなければなりません。
- 葬儀や納骨のこと。
- 家のこと。
- 金融機関のこと。
- 財産のこと。
- 相続のこと。
そして、これからこの家をどうしていくのか。
一つひとつのことを、自分で考えて、決めて、手続きをしていく。
もちろん、専門家に相談できることもあります。
でも、最終的に「どうしたいのか」を決めるのは自分です。
その大変さを、今回改めて実感しています。
エンディングノートを書けば、それで終わりではない
今回の経験を通して、私は改めて、エンディングノートを書くことは大切。でも、それだけでは十分ではないと感じています。
書いてあることで助かることはたくさんあります。
でも、「書いたから大丈夫」ではなく、書いたことを誰かと共有しておくこと。
そして、財産や大切なものについて、実際に一緒に確認しておくこと。
さらに、相続についても、元気なうちから考えておくこと。
これが大切なのだと思います。
特に財産については、「銀行口座があります」
だけではなく、
- 「どこの金融機関に口座があるのか」
- 「通帳や印鑑はどこにあるのか」
- 「保険は何に入っているのか」
- 「不動産はどこにあるのか」
など、残された家族が実際に手続きをするときに必要になる情報まで考えておくことが必要です。

終活は「死ぬための準備」ではない
私は、今回伯母を見送ったことで、終活の大切さを痛感しています。
終活というと、「死ぬための準備」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、私はそうではないと思っています。
終活は、これからの人生をどう生きたいのかを考えること。
そして、大切な人に、自分の思いを伝えておくこと。
さらに、自分がいなくなった後に、家族が困らないようにしておくこと。
でもあると思います。
伯母は、最後に「楽しい人生だった」と言ってくれました。
その言葉を聞けたことは、私にとって大きな救いになっています。
一方で、今になって「もっと聞いておけばよかった」と思うこともあります。
もっと若い頃の話を聞いておけばよかった。
伯父とのことを、もっと聞いておけばよかった。
大切にしてきたものについて、もっと聞いておけばよかった。
そんな思いもあります。
「うちは大丈夫」と思っている今こそ
終活や相続の準備は、何か問題が起きてから始めるのでは遅いことがあります。
入院してから。
認知症になってから。
亡くなってから。
そのときには、本人に聞きたくても聞けないことがあるからです。
だからこそ、「まだ元気だから大丈夫」と思えるときに、少しずつ始めておく。
一度に全部やる必要はありません。
まずは、
- 「どんな財産がある?」
- 「銀行はどこを使っている?」
- 「もしものとき、誰に連絡してほしい?」
そんなところから話してみるだけでもいいと思います。
そして、できれば一人で考えず、家族と一緒に確認してみてください。
今回の伯母の相続を経験しながら、私は改めてそう感じています。
準備していたから助かったこともたくさんありました。
でも、準備していたからこそ、「もっとここまで確認しておけばよかった」と気づいたこともありました。
だから私は、今回の経験をこれからの仕事にも生かしていきたいと思っています。
終活も、相続も、財産の話だけではありません。
「これから、どんなふうに暮らしていきたいのか」
「家族に何を残したいのか」
「大切な人に、何を伝えておきたいのか」
そんなことを一緒に考えていくことが、終活の第一歩なのだと思います。
あなたの大切な人は、
- 「何をどこに残しているのか」
- 「誰に何を伝えてほしいのか」
- 「これからどうしてほしいのか」
を、誰かに伝えていますか?
そして、あなた自身はどうでしょうか。
「まだ早い」と思っている今だからこそ、できることがあります。
大切な人との時間を大切にするためにも、まずは一つ、家族と話してみませんか。
エンディングノートの書き方、財産の整理の仕方、相続の進め方など、「何から手をつけたらいいか分からない」という方のご相談を承っています。
ご家族との話し合いのきっかけづくりからでも構いませんので、お気軽にお声がけください。

