成年後見人はつける必要があるのか? その4 【成年後見人等はいつつけるのか?】

成年後見人等の講座や話をすると必ずきかれるのが
「いつつける手続きをしたら良いですか?」
です。

これは一概に答えられないのです。
その理由と考え方を書いています。

知的障がいのある人とその家族の例でお話ししますね。

ご本人(後見人等が必要な人)と家族の年齢の確認

まずは一番大切なのが、ご本人と両親の年齢です。
自宅で両親と暮らしていて、日中活動(就労の施設)に
通所できているなら、今すぐに後見人等は必要ないですね。

後見人等をつけてください!と言われる場合で一番多いのが
両親のどちらかが亡くなって、相続の手続きを行わなくてはならない時です。

自分で名前が書けない
相続の内容について理解ができない
などの状況の場合
遺産分割協議書を作成するときや
金融機関での手続きの際に

「自分で判断する能力に問題があるので
成年後見人等をつけてください。」
と言われます。

その際に、一時的に弁護士などの代理人で
行える場合もありますが
その時にやはり必要になってしまうこともあります。

亡くなって人の様々な手続きと一緒に
成年後見人等の申請を同時に行うことになります。

これはかなり重労働です。

自分の親が亡くなる想像をしてみると分かりますね。
実際にもうその体験をした人もいるのではないでしょうか?

自分やパートナーが亡くなるかもしれない年齢を想定して
準備をする必要があるのです。

成年後見人等をつけた場合の報酬について確認する

次にもし成年後見人等の手続きをした場合に
成年後見人等に払う報酬について考えてみましょう。

成年後見人等の報酬については
本人の財産状況を考慮して
家庭裁判所が額を決定します。

後見監督人がついている場合は
そちらの報酬も必要になります。

地域の家庭裁判所で
だいたいの報酬額が公表されている場合がありますから
確認してみてくださいね。

例えば月1万円の報酬と決定されたとします。

成年後見人等は一度つけると基本的には
被後見人等が亡くなるまでつきます。

ということは
50歳で申請手続きをしてから
80歳まで生きた場合
年間12万円の30年で360万円が必要になります。
(後見監督人がつくと更に月に1万円が必要になります。)

ご本人の障害年金や手当、就労の報酬などから
この報酬額を払えるのか
親がその資金を用意できるのか

が、重要になります。

親がいなくなって、障害福祉や介護福祉を利用する生活を考える

成年後見人等が本当に必要なのは
親がいなくなった(亡くなった)あとの生活での
お金の管理や福祉のサービスのコーディネートと決定の際の判断です。

一人っ子の場合はそれを考えてくれる人はいるでしょうか?
また、きょうだいがいる場合はどうでしょうか?

もし、ご本人が一人暮らしをするのは難しいとなれば
グループホームや施設に入所するのか?どうするのか?

グループホームに入った場合に家賃や食費、光熱費などを支払って
本人に必要なものを購入したりした金額が
障害年金や手当の範囲でやりくりできるのかを
検証する必要があります。

福祉サービスや介護保険の制度をどのように利用していくのか
も、料金がかかりますので検討が必要です。

ご本人が若いうちに(両親も若いうちに)
この検討をしておく必要があります。

地域の権利擁護センターなど行政の相談機関を利用して

地域には基本的に社会福祉法人の社会福祉協議会があるはずです。
そこでは、行政から委託された形で
「権利擁護センター」を設置している場合が多いです。

ぜひ、権利擁護センターに成年後見人等の相談に行って欲しいです。

それぞれのご本人の状況や両親の財産や家族構成によって
個別の検討が必要
だからです。

相談に行ったからと言ってすぐに
成年後見人等の手続きが始まるわけではありません。
聞き取った内容で、必要であれば連携している
弁護士や司法書士、社会福祉士を紹介してくれますし
なんどでも相談ができます。

ぜひ、一度我が家の場合はどうすれば良いのか?
と迷ったら相談に行ってください。

今まで知らなかった情報や
使える制度なども教えてもらえます。

家族だけで考えても解決しないことは相談すれば良いのです。

なにも怖いことはありません。
ぜひ、行ってみてくださいね。