きょうだいに負担をかけないための親なきあとの3つの準備
こんにちは。
知的障がいのある人の家族のための相談室 室長、
家族マネープランニングの専門家 濱倉千晶です。

知的障がいのある子どもを持つ親にとって、「親なきあと」の備えは大きな課題です。
特に、きょうだいに過度な負担をかけたくないと願う親御さんは多いのではないでしょうか。
この記事では、以下のような方に向けて、親としてできる3つの準備をご紹介します。
- きょうだいに将来の負担をかけたくないと考えている方
- 家族内での役割分担に悩んでいる方
- 親なきあとの備えを始めたいが、何から手をつけて良いかわからない方
きょうだいに全てを任せないための「親なきあと」準備
1. きょうだいの人生を尊重する姿勢を持つ
私にはダウン症の長男と、その妹である長女がいます。長女が妊娠したときから、「お兄ちゃんのことは親が全力で支える。あなたにはあなたの望む人生を歩んでほしい」と願ってきました。
その想いを形にするため、長女の大学受験まではとことんサポートし、彼女の進路や選択を尊重してきました。同時に、障がいのある兄について知っておいてほしいことは、長女の年齢やタイミングを見ながら、折に触れて丁寧に伝えてきました。
小学校に上がる前には、学校での友達との関係や、兄の友人からの情報で混乱しないよう、私の言葉で兄の障害について説明しました。誰よりも信頼できる親が、最初に正しく伝えることが大切だと感じたからです。
そして、長女が大学に合格し一人暮らしを始める際、私は手紙を書きました。
「あなたを優先できなかったこともあったのを申し訳なく思っている」
と綴ったその手紙に対して、長女から返事が届きました。
「お兄ちゃんがいて良かったよ。辛いと思ったこともあるけど、自分の人生にとってプラスになったことの方が多かったと思う」
その言葉に、私は涙が止まりませんでした。
2. 情報共有と対話の積み重ね
親なきあとの支援を考えるうえで、きょうだいへの情報共有と対話の積み重ねは欠かせません。
私は、長男を大事に考えつつも、長女と私だけの時間も大切にしてきました。「困ったことや嫌なことがあれば、まずはお母さんに話して」と伝え、「親は絶対的にあなたの味方だよ」と何度も声をかけました。
また、以前のご相談では、両親が長年、知的障がいのある弟さんの支援をされていたご家庭がありました。ところが、両親が立て続けに亡くなってしまい、きょうだいであるお姉さんが急遽すべての支援を引き継ぐことになりました。
「何も聞いていなかったので、最初は本当に大変だった。でも、弟が通っていた施設の方や、母の友人たちが教えてくれて、ようやく生活が整いました」とその方は話してくれました。
このように、日々の中で「家族として知っておいてほしいこと」を少しずつ伝えることが、いざという時の支えになります。
3. 親子のライフプランに“きょうだい”も含めて考える
親として、「障がいのある子の将来」だけを考えるのではなく、自分自身の老後やきょうだいの未来も含めた“家族全体のライフプラン”を立てることが大切です。
たとえば、80代の母親と50代のきょうだいの方が相談に来られたことがありました。私は、「どちらが長生きするか分からないから、支援を引き継ぐ役割を他の人とどう分担するか、考えておきましょう」とお伝えしたところ、
「そんなこと全く考えていませんでした。自分のほうが長生きするつもりでいました」
と驚かれていました。
将来の役割分担は、元気なうちに話し合い、資料にして残しておくことが重要です。
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家族間での情報共有やきょうだいへの説明に役立つ内容です。
さいごに一言とご案内
焦らず、少しずつ始めましょう。未来の安心は“今”から整えていけます。
「お金と家族のこと、一緒に考えてみませんか?」
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お読みいただきありがとうございました。
この内容が、読者であるご家族の「一歩を後押しする」記事になることを願っております。