知的障がいの人にとっての生活保護は最後の砦
東京新聞の9月26日のトップ記事に
気になる情報が掲載されました。
なぜ知的障がいの人にとっての生活保護が最後の砦なのか
これを理解するには
知的障がいのある人がどのように暮らしているかを
知る必要があります。
知的障がいのある人と言っても
その人その人によって
できることやできないことが違います。
どのくらい言葉が話せるのか?
どのくらい話の内容を理解できているか?
自分の身の回りのことをどこまで一人でできるか?
などなど
その状況によって
支援がどのくらい必要なのかで
知的障がいのある人が成人してからの
仕事は多岐に渡ります。
一般就労できる人もいれば
A型やB型の事業所に通所する人も
他にも様々な形態があります。
仕事の内容によって収入が変化します。
我が家の長男の場合は
B型の事業所で月の収入は15,000円程度
そこから昼食代やおやつ代を差し引かれて
手元に残るのは7,000円から8,000円です。
とてもこれでは暮らしていけません。
だからこそ障害年金という形で
もう一つの収入があります。
「障害年金があるんだから
大丈夫でしょ?」
と、思われるかも知れませんが
親なきあとを見据えて
親と離れてグループホームで暮らすとなると
・家賃
・光熱費
・食費
・衣服費
などなどは
普通の成人の一人暮らしとほぼ変わらないくらいの
生活費が必要になります。
親は
毎月の障害年金や通所の工賃では
この先、足りなくなるのを見越して
資金を準備します。
それでも
親がいなくなった後に
毎月の生活費が足りなくなっていく可能性があります。
そうなったら
頼るのは「生活保護」なんです。
障害年金を受給できていない知的障がいの人もいる
実は現在、私が保佐人としてサポートさせていただいている
80代の知的障がいの人(Aさんとします)は障害年金を受給していません。
知的障がいとしてボーダーラインで
障害者手帳を取得したのも
かなり年齢が過ぎてからのようでした。
なのに、なぜか
障害年金を受給するための手続きをしておらず
成人してから少しの期間
飲食店で働いていた時に
厚生年金に加入していたので
ほんの少しの厚生年金が受け取れています。
しかし
Aさんは一人暮らしをしており
様々な介護のサービスを利用して生活しています。
高齢のなので、病院の通院も必要です。
受け取っている年金だけでは
生活していくためのお金が足りません。
私がこの方の保佐人を前任者から引き継いだ時は
これまでの貯蓄を取り崩していました。
もちろん
つつましく暮らして贅沢などしていません。
しかし
一人で暮らしていくにはサポートは必須で
どうしても毎月一定の金額は必要になります。
どんどん減っていく通帳の残高とにらめっこをしながら
今年の1月に生活保護の申請をしました。
生活保護の申請でとても不快な体験
生活保護の申請は私は初めての経験でした。
事前に市の担当課に電話して
必要書類を確認し
実際に市役所に足を運んで
適切な申請時期がいつなのかを確認しました。
いざ、Aさんと一緒に市役所に向かうと
私が保佐人であることを伝えているのに
担当者はAさんに向けて
普通に生活保護について説明を始めました。
しかも
専門用語満載で!!
そして
返事を求めてきたのです。
Aさんは私に向けて困ったような視線を送ってきました。
多分、職員の言っている言葉の意味が
理解出来ていないのです。
私が職員の言っている内容について
分かりやすい言葉で再度説明しました。
その説明でAさんは何を返事すれば良いのか理解できたようで
やっと職員にお返事できました。
その様子を見ているのに
その後も専門用語満載で説明と質問を繰り返します。
Aさんが「はい」と返事をしないと
申請が先に進まない大事な質問でも
全く対応を変えません。
まるで申請をすることが悪いことのような
印象さえ受けました。
怒りをぶつけてしまわないように
自分の感情を抑えるのが大変でした。
やっと申請が終了すると
1時間以上かかっていました。
Aさんも私もぐったり。
ケアマネージャーさんに申請の報告をした時に
申請時の様子を伝えると
「生活保護の申請では
とても嫌な思いをしたという人が多いんですよ。
付き添った家族も嫌なことを言われたとかは
良く聞きます。」
とのこと。
良くあることではダメですよね。
必要な人に必要なタイミングで支援が行われるのが大切
冒頭の東京新聞の記事には
生活保護の利用者の割合を示す
「保護率」の過去10年間の変化を
研究者らが自治体ごとに色分けして
見える化したものです。
保護率の増減が分かります。
「周辺の自治体に比べて急減している地域は
申請をさせない水際作戦なども疑われる」と記載があります。
生活保護の受給については
以前から色々な問題があることは知っています。
(不正受給とか、保護費を一部しか支給しないとか)
ですが
Aさんのように明らかに受給が必要な人もいます。
保護を制限するのであれば
担当者が生活の実態をしっかりとチェックして行えば良いと思います。
申請時に嫌な思いをさせたり
知的障がいのあると分かっているのに
難しい言葉を使って説明するようなことは
あってはならないと思います。
支援が遅れたり実施されないことで
憲法第25条で保障されている最低限度の生活が
送れるようにして欲しいと願います。
この記事を読んで今年1月の申請の時の状況が
ぶわーっとよみがえってきたので書いてみました。
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